気功概説

117. 小周天について

日本に来て気功、瞑想を教え始めて30年以上経ちました。
禅密気功を教え、瞑想会も開いて、最近、小周天を皆さんと一緒に練習するようになりました。
小周天は道家の練習功法ですが、深く触れてみれば、禅密気功や瞑想と共通しています。
ここで小周天について、私の30年以上の体験と合わせて、大まかな内容を述べたいと思います。

小周天は道家の基本功法で深さのある功法です。
小周天の周天の意味は昼夜が循環している事です。
道家は体内に小宇宙があり、外の大宇宙と繋がっていると考えています。
外側は昼夜の循環があり、内側は気の循環があります。
この循環が小周天という功法になって、任脈と督脈に気をまわす事に繋がります。
任脈は身体の陰面の真ん中にあり、督脈は陽面の真ん中にあります。
小周天はこの二つを繋げ、気を回す事です。

道家の小周天の練習は、殆ど道教のお寺で密かに練習されてきています。
ですが世間には道家以外に沢山の小周天の流派があります。
その中には内容を複雑、神秘的に説明して、浅い練習をしている流派があります。
なかには神秘的、宗教的な現象にこだわっている流派もあります。
私は伝統的な小周天の先人達の考え方や体験談と自分なりの体験を合わせて、
健康の為の目標を明確に立てて、皆さんと一緒に小周天を練習したいと思っています。

小周天で任脈と督脈に気を回す時、丹田の熱い感覚や、天頂の静かで涼しい感覚等を強調して練習しました。
小周天の中に「六根振動」という言葉があります。小周天が本当にできていると、その現象が起こります。
「六根振動」とは、目、耳、鼻、舌、身、意、の六つのポイントが変化する状態の事です。
私達の練習では私なりに重視しているポイントにそって行います。
小周天は道家によれば、「練精化気」という段階の事です。気が活発になる事です。
これは丁度、「八触」に相当し、瞑想会の「気の瞑想」と同じ段階です。

小周天の次の段階は大周天です。
気が満杯になると、気を動かす事もしなくなって、その状態を保って続けていくことは大周天の練習です。
道家では、大周天は「練気化神」の段階で、瞑想会の「光と意の瞑想」に相当します。

道家では「練気化神」の後、「練神還虚」という段階があり、それは「光の瞑想」の到達点に相当します。
「練神還虚」の次は、「粉砕虚空」という最終段階になり、これは瞑想会の「心の瞑想」の到達点に相当します。

小周天を良く出来るようになると、気が活発になり、元気になり、その間に様々な病気が改善されます。
同時に練習すればするほど、心身共にリラックスするようになり、人生が楽しくなります。
ご縁があれば一緒に練習してみましょう。

102. 三つのポイントで気功(瞑想)の練習を評価する

気功(瞑想)には神秘で不思議なイメージがあります。
練習すると偏差が起きるのでは、という恐れをもっている初心者も結構います。
練習が正しい道に進んでいるかいないかが分からず、迷う恐れがあると思いますが、
ここで練習の効果を確かめる為の三つのポイントをお話ししましょう。

1.練習する時、体の中の感覚や変化を追求します。
2.練習後、体質や精神状態が改善されている事。
3.心身の健康の為の練習であると言う事を常に目標とする。

1.について
良い功法を選んで練習すると、それなりの内在的な感覚や体験が練習により出てきます。
逆に、練習しても感覚が無かったり、曖昧で有る場合は、その功法か、あるいは自分の練習のやり方に何か問題があるでしょう。
現在では、情報がオープンになっている時代ですから、様々な流派のポイントを組み合わせて、功法を作る事が出来ます。
そうすると中身が無い恐れがあります。
良い功法は、大勢の人や先人達の練習を通して得られた豊富な経験が積み上げられたものです。表面的に功法が簡単でも、練習すればするほど、中身の体験が沢山でてくるでしょう。

2.について
1度の練習だけでも、体の変化がある事を確かめて下さい。
3カ月から半年以上練習すれば、体質の改善や精神状態が改善されている事をチェックして下さい。
昔は100日間で基礎を築く(「百日築基」)といいました。
およそ3カ月、毎日練習すれば、体質が改善されるということです。
練習する時、いくら豊富な感覚が出て来ても、必ず体質改善するとは言えません。
それは練習の強弱(火加減という)と関係があります。
常にこの効果をチェックしながら練習して下さい。

3.について
ほとんどの皆さんは心身の健康のために練習に来ていると思いますが、練習をしている間に、神秘的な事にはまり、最初の目的を忘れてしまうことが結構あります。
ですから心身の健康という目標から外れないように常に確認しながら練習して下さい。

以上の3つのポイントで練習の効果を確かめて下さい。

101.気功的な生き方

気功を常に練習して、気功の良さが身に着くと、これにあわせた生き方ができるようになります。
老子の言葉で言うと、
「故常無,欲以觀其妙」
 <常に無という状態を通して、宇宙の美妙(妙な美しさ)を見る。>
「常有,欲以觀其徼」
 <常に有と言う状態を通して、万事万物の美妙な変化を見ます。>
となります。

常に無いと言う状態は、五塵「色・声・香・味・触」を受けないことで、気功態になる事です。
常に有りと言う状態は、万事万物と接する事です。

気功を常に練習する人は、二つの状態になっています。
外部の刺激を受けない気功態と、万事万物と接する社会人としての普通の状態です。
気功態の時は、何も感じないのではなく、微妙な良い感覚(空に浮かんでいるような感覚)を探して見つけ、維持しています。
普通の状態では、万事万物と接する時、物事の変化、流れ(因果関係など)に意識を集中しています。
別の言い方をすれば、視野を広げ、物事にこだわらず、執着しないで、寛容と慈愛の気持を持つ事です。

気功態と普通の状態は、表裏一体で、同じ気持から発生しています。
1.落ち着いて穏やかな気持ちで気功態に入り、落ち着いて穏やかな気持ちで物事と接する事です。

2.常に気功態になると、物事と接すると、より物事の変化と流れがよめるようになります。
 同様に、常に寛容、慈愛の気持で物事に接すると、より深く良い瞑想(気功態)ができます。

3.気功態と普通の状態は、本質からみると区別がありません。
 いつでも気功態になって、いつでも優しい慈愛の気持を持っています。
 物事と接する時、気功態をはずせないし、気功態になっても、物事を接する事ができます。 
 一体になって、区別が無いことです。

気功を常に練習する人は、以上の二つの状態で人生を生きています。

社会は変化していますから、何かの原因で上記の状態から外れる事もありますが、練習を通して、戻りましょう。

88.気功(瞑想)練習の偏差について

初めて気功の練習をする人達は、色々な反応が出て来て不安になり、質問を受ける事が沢山有ります。
私が言いたいのは、ほとんどの偏差と思われる反応は、好転反応で良いことです。

練習すると、毛細血管が開いて、細胞の動きが活発になり、気が動くようになります。
そうすると、良くないところに刺激を与え、反応が出てきます。
あまり経験が無い事なので、不安になるのは理解できますが、でも普通のあちらこちら問題の有る体から
全身に気が流れるまでの状態になるには、何年かかかります。
この間に、重たいとか圧迫されるとか針にさされるような感覚が、出たり消えたりしながら波のように続きます。
体にはあまり良い感覚ではないのですが、でも全体的に体が元気になって、病気も弱くなってきます。
ですから偏差ではなく、好転反応です。

偏差と言うと、気功(瞑想)について、正しい認識を持っていないことが、一番の偏差です。

気功の練習それ自体は、実は簡単なことです。
全身リラックスして、体と気持をリラックスして、そのまま続けていれば、心と体の両方が楽になり元気になります。
でも、あまり普段にはない体験ですから、多くの人達は、こんな体験を宗教や迷信、疑心暗鬼等と繋げてしまうのです。
これは大きな偏差です。
偏差の気持を持って練習すると、良い状態にはならないです。
ですから昔の伝統的な練習の方法は、練習の前にまず正しい認識を厳しく学びました。

人間の認識を変えて正しくするのは実に難しいです。同じことを繰り返し学ばないと身に着きません。
もちろん、認識の勉強と実際の練習の両方を融合して行わなければなりません。

本当の偏差も少ないのですが、やはり有ります。
やりすぎてしまい、気のコントロールが出来なくなるとか、精神状態が乱れるとか、病気が誘発されるとかもありますが、
ごく少数です。

経験のある指導者のもとで練習すれば、そのような偏差は避けられます。

以上のように偏差は少ないので、時間をかけて練習しましょう。

84.六妙門について

天台宗に瞑想のプロセスを六段階に分ける六妙門という分け方があります。
それに関して、「気功瞑想でホッとする」という本に私なりの体験を込めて細かく書いてありますが、
ここでもっと簡単明瞭に説明したいと思います。

六妙門は、「数」、「随」、「止」、「観」、「還」、「浄」です。
「数」は呼吸を数えること。
これは、初めて瞑想する時、あまり集中出来ないので、呼吸を数えることを通して少しでも集中する為の練習です。
ちょっとでも集中できると、呼吸を数えることが邪魔になり、やめて「随」になります。
「随」は気の流れに意識を集中することです。
ここで大事なことは、外部の空気を吸い込む時の感覚に集中することから体内の気の流れに意識を集中することです。
密宗では、ここの外部の空気を「気」と言い、内在の気は「息」と言います。
「気」に集中することから「息」に集中することに移るのが大事です。

「止」は体内の気が満杯になることです。体内の気が満杯になったら、動きがあまり無いので、
意識と気持も安定している状態になり、「止」になるのです。
「観」は「止」になった時の余裕がある気持の状態です。

ここで強調したいのは、最終的に「止」と「観」は、紙一枚の両面で一つのことです。
分かりやすい例えで言うと、苦労して山頂に到達して、山頂から山々や雲海を眺めると、気持と精神状態が昇華されます。
この山頂からの眺めは「止」と言い、この精神状態は「観」と言います。

「還」は穏やかな気持を人間が本来持っていることが分かり、それを見守ることです。

「浄」は緊張観が無くなって常にリラックスして、愉快な気持ちになることです。

以上で、強調したいことをポイントとして述べましたが、練習したい時や、更に細かい内容については、
「気功瞑想でホッとする」という本を読んで下さい。

80. 「空有合一」 

「空有合一」とは、「空と有が一体になる」と言う事です。
ここの「空」は禅修する時の「空」です。
気功話79で書いたように、三つの空があります。
a)は、物事に対する動いている感情が無くなると言う事です。
b)は、座禅する時、感覚が無くなります。
c)は、余計な私欲や怒り、恨み、嫉妬などのマイナスの感情が無くなります。

以上の三つの空になったと同時に、得る物、有、があります。
a)にあわせての有は、日常生活の緊張感から解放された良い気持です。
b)にあわせての有は、気功態になる時の愉しくて楽な気持ちです。
c)にあわせての有は、穏やかで幸せそのものの状態です。

三つの空と三つの有の関係は、紙の表面と裏面の事です。
空になると同時に、有がでてきます。

以上の「空有合一」とは別に、もう一つ「空有合一」があります。
練習以外の時、社会生活をしている時、穏やかな気持ちと、他の気持を合わせる事です。
穏やかな気持ちは安定しているので「空」で、他の気持は変化しているので「有」です。
その時の「空有合一」は、基本的に穏やかに気持を持っていますが、喜怒哀楽もあります。
喜怒哀楽があっても、根本の穏やかな気持ちに影響しません。

以上で二つの「空有合一」を簡単に説明しました。

79.禅修(修行)と「空」

1.哲学としての「空」
  この「空」は物事の認識論、あるいは人生観ともいえます。
  というのは、
  a)万事万物は因果(原因と結果)で組み合わせて出来あがっています。
  b)万事万物が因果により変わっています。
  これは、物事にこだわらない為の考え方です。

2.禅修(修業)としての「空」
  a)日常生活において、なるべく、感情は物事と離れて、落ち着くようにさせます。
  b)座禅をする時、物事の感覚を無くす方向にもっていきます。
   そうすると、常に月夜の下、静かな森林などの境地に達します。
  c)練習の結果として、優しい、慈愛、信頼できる、等の良い人間になります。
  d)練習で得たこの良い人間性を、日常生活と融合して、維持させます。

3.哲学の「空」と禅修の「空」
  哲学の「空」は人間の生き方の方向性を示しています。
  人は怠け者ですから、正しい認識を持っていても、必ず従うわけではありません。
  その為に、禅修が必要なのです。  
  哲学の「空」は、禅修の「空」を体験してから、感覚として理解できるものです。

哲学の「空」は、「慧」といいます。
禅修の「空」は、「定」といいます。
「定」「慧」と一緒に、練習(「定慧双修」)していきましょう。

76.「気」の正しい認識

以前も説明したように2,500年前から「気」という文字が使われてきて、中国の伝統思想の一部になって来ました。
約60年前、気功という健身法が流行ってくると、「気」という思想が隆盛になりました。
ここで「気」という思想を説明していきたいと思います。
老子時代から「気」という思想は伝統の重要な一部です。

「気」はどこにでも存在しています。
万事万物のすべては、「気」の表現であり、「気」は万事万物の根本のエネルギーです。
荘子の「集まると形になり、分解すると「気」になる」という話は、万事万物と「気」の関係の良い説明です。
「気」の塊は、形になりますが、「気」自体は、見ても見えないし、触っても感じないし、聞いても聞こえないです。
以上の説明は、現代人としては理解しやすいです。なぜなら、科学技術が発達して、分子・原子・電子…素粒子という知識が普及してきたからです。
伝統的な「気」という概念は、科学で言う「素粒子」です。

「気」の概念から「気の変化」の思想が生まれます。
「気の変化」は、現代の言葉で言うと、宇宙の法則・自然の規律です。
人間は宇宙の中・自然の中の存在ですから、自然の規則に従って生きていれば良い人生になるのです。

この思想に従うと、道教系は、自然・無為・徳を積み、道に戻ると言う事を強調しています。
儒教系は、私利私欲を滅して、仁愛を養うと天理或いは本性が現れると言う事を強調しています。
仏教系は、因果関係と慈悲を強調しています。執着しなければ、人間本来持っている穏やかな気持ちが現れ、
それで万事万物と一体になり仏様になります。

ここの道、天理、仏様は言い換えると「気」という事ですね。
つまり、「気」および「気の変化」の思想は人間の生き方・人間性を鍛える事と繋がっています。

もう一つ「気」の意味が有ります。気功を練習する時の感覚の事を指しています。
これは現実の感覚と違って、特別な微妙な感覚です。夢うつつのような、気功態になる時の感覚です。
「奇景八触」はそれらの感覚をまとめたものです。
それは、リラックスしている時、緊張感がほぐれて来て、一番良い状態に戻る時の感覚です。

以上のように、伝統の思想の「気」と気功練習の時に感じる「気」は異なります。
伝統の思想の「気」は感じられないものなのです。
練習する時の「気」は感じられるし、追求するべきです。
練習する時の「気」を、伝統の「気」であると思ってしまうと、自分は無限の「気」を動かすことができるとか、
宇宙の支配人、偉い超能力者、特別なパワー・練習法を持っていると思ってしまいます。
自分の流派は特別なもので、自分は特別なパワーを持っていると思う人は、以上の二つの概念を混在させているということです。

二つの「気」の意味を良く理解して、両方を大事にしていくと、良い人生に繋がります。
練習の時の「気」を追求していくと練習の質が良くなります。
伝統の「気」及び「気の変化」を大事にしていくと人生のすべてが練功状態になるでしょう。
二つの関係は、丁度、小乗と大乗の関係に一致します。

69.「二重遮断」と「持四心」

気功話58.「四つの心を持ちましょう(「持四心」)」で書きましたが、練習以外でも持四心を持つ事が大事です。
四つの気持とは、以下の4つです。
1.寛広心 2.平常心 3.包容心 4.浄楽心 
各気持については、気功話58を参照して下さい。

二重遮断の一番目の遮断は,意識と物事の連動を遮断する事です。
この遮断は普通の生活の様々な欲に巻き込まれることから抜け出すことができて、執着心が薄くなります。
二番目の遮断は、穏やかな気持ちを保って、物事の影響を受けないように遮断する事です。
この遮断の結果としては、慈愛の気持が満ちた状態になります。

「二重遮断」はすればするほど、「寛広心」が高まってきます。
同様に「寛広心」を養えば、二重遮断の練習もより上手にできるようになります。

一番目の遮断が足りない場合は、「包容心」の訓練を充分に行いましょう。
包容の気持があれば、物事への執着心が少なくなって、一番目の遮断がしやすくなります。

一番目の遮断は充分だけれど、二番目の遮断が足りないという時は、寛容な気持ちが足りない傾向があります。
その時は「平常心」の訓練を行いましょう。
この「平常心」は、安定した気持と同時に、人間である限り、聖者と普通の人間とはさほどの違いはないという認識を持つことです。

「浄楽心」は前の三つの気持が極限に到達した時の気持であり、同時に二重遮断が到達するところです。
人生の理想の気持の状態です。

68.瞑想の中の「二重遮断」の事

瞑想法にはいろいろな呼び方があります。形からいうと「座禅」といいます。インドでは「ヨガ」といいます。瞑想を三つの手段で練習する面からいうと、「三密相応」といいます。意識を整える面からみると「思維修」といいます。心を静かにするという面からみると、「静慮」といいます。これらの呼び方が瞑想の各特徴を強調しています。ここで私はもう一つの瞑想の特徴を強調したいと思います。「二重遮断」の事です。

おおまかにいうと瞑想の練習には二段階の遮断があります。
第一段階の遮断は、五感を通しての外部の物事との繋がりを遮断していく。そうすると意識と気持が段々動かなくなって落ち着いてきます。気持が平穏になります。
第二段階の遮断は、平穏な気持ちを維持すると同時に、意識が外部の物事と連動していきます。いわば気持と外部の物事との連動を遮断します。普段は気持が、万事万物と連動しています。この段階の練習では、良い事や悪い事があっても遮断して、良い気持だけを維持して守っていくだけになります。

昔から第一段階は「小乗」、第二段階は「大乗」といいます。
ですがこの二つは絶対的に分けられるものではなく、第一段階は「小乗」、第二段階では「大乗」が多く占めています。
瞑想をしながら、「二重遮断」を体験していきましょう。

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