114.「止」と「観」のプロセス(その2)
Ⅱ.「観」は、「止」にあわせての認識・考え方のことです。
1. 「止」のプロセスにあわせての「観」は、視野と度量を寛げることです。
視野が狭くなると、我が強くなります。視野が寛がると我が薄くなります。
同時に、我という私欲が少なくなると視野も寛がります。
ですから、視野を寛げる事は、最終的には度量が寛がって、人格を高めることに繋がります。
特に注意するところは、一つの具体的な功法や流派にこだわってしまうことです。
功法は練習の道具です。河を渡す為に船に乗るのと同じで、彼岸に着くと船から降りなくてはなりません。
別の言い方をすると、良い練習法は簡単でオープンな方法です。
この功法を通して、みな伝統の功法と繋がります。同じ目的に向かい、近づきます。
変な功法は、秘密にして、神秘的な雰囲気を作り、自分の功法だけが特別な力や効果を持つように言います。
ですから、練習する人は、視野を寛げる事が大事です。
2. 「止」の④の状態にあわせての「観」は、私の言葉で言うと、離体意識です。
気が満杯になる時、身体の存在感がほぼ無くなり、でも意識と気持がまだあります。
普段は、意識と気持は自分の肉体と繋がっています。
美味しいものを食べたいとか、楽しい音楽を聞きたいとか、褒められると嬉しいとかはすべてこの肉体と繋がっています。
「止」の④の状態を維持していくと、今までにない気持が出てきます。
ただただ落ち着いて、淡々としての楽しい気持だけです。
この「離体意識」と「身体と関係のある意識」との関連性を考えると、「唯識論」が生まれます。
最終的には「止」と「観」は、紙一枚の両面で、一体なのです。
どのレベルまでかの「止」が出来ると、それにあわせた「観」が現れます。逆も同じです。
場所は「止」。心境は「観」です。
例えると、繁華街に居る時の心境と、山頂で良い景色を観る時の心境との違いと同じ事です。
心境は場所によって異なるのと同じで、「観」は「止」のレベルにより異なってきます。
Ⅲ.「止」「観」のメリット
「止」のメリット
1.緊張感がほぐれて、気が活発になり、健康になります。
2.集中力が高まります。
3.優しく、落ち着いてきます。
「観」のメリット
1.穏やかな気持ちを維持する事が出来ます。
2.邪魔なことがあっても排除できます。気にしなくなります。
「止」「観」を合わせると、身心ともに健康になり、人生が楽しくなります。
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